大判例

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鳥取地方裁判所 事件番号不詳 判決

主文

被告人山本幾造を懲役六月に

同名越重雄を罰金三万円に処する

被告人名越重雄において右罰金を完納することができないときは金三百円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する

本裁判確定の日より三年間被告人両名に対する右刑の執行を猶予する

訴訟費用は全部被告人両名の連帯負担とする

理由

被告人山本幾造は鳥取県八頭郡智頭町八河谷ミタアト五百七十二の一番地所在の杉林約五反歩を西尾圭介と共に所有し、被告人名越重雄は昭和二十三年三月頃より同町智頭木材株式会社に雇われ木材仕入生産係として同会社が買入れる山林の調査をなす等の任務を有していた者であるが

被告人山本幾造は昭和二十四年四月頃右会社より右杉林の売却方を求められたのを奇貨とし、立木数量を実際より過大に計上して売買名下に同会社係員より金銭を騙取しようと企て、同年四月二十日頃肩書住居地において被告人名越重雄に対し、「多少の礼はするから山の木を見るときに帳付けはどうでもなるだけ適当によい具合にやつてくれ」と申向け、以て、山林調査の際には立木数量を実際より過大に計上するよう依頼し、被告人名越重雄は、右依頼にもとづき前記任務に背き、同人の利益を図るため、同年四月二十五日同社員六名三組に分れ、右山林の調査を為すにあたり被告人は、同社員井上甚市と一組になり同人には立木の太さを測らせ自分は之を記帳したがその際、同人の調査区域の立木数は六百二十六本位であつたのに拘らず千五百八十三本ある如く寸検表と題する書面(証第三号)に記載して同会社係員植月武市に提出報告し、ために同人は該山林全部の立木実数は二千四百九十六本位であるのを三千四百五十三本位あるものと誤信するに至つたのであるが、被告人山本幾造は右山林の調査現場において、名越が実際より相当過大に記載した事実を知り、従つて右植月がその如く誤信している事実を認識しながら之を默秘し、同日智頭町塩田屋旅館において同人と前記山林約五反歩上の立木全部の取引を為すにあたり同人の錯誤を利用し之を金八十五万円にて右会社の為に買取る契約をさせ、即時同人より売買代金名下に金八十五万円の交付を受けて之を騙取し、被告人名越は右背任処為の結果同額の損害を同会社に加えたものである

(証拠)(省略)

法律の適用

被告人山本の判示所為につき 刑法第二百四十六条第一項

同 名越の判示所為につき 同法第二百四十七条 罰金等臨時措置法第二条第三条

(罰金刑選択)

罰金換算につき 刑法第十八条

執行猶予につき 同法第二十五条

訴訟費用の負担につき 刑事訴訟法第百八十一条第百八十二条

(昭和二五年一二月一八日鳥取地方裁判所)

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